本研究は組織培養を通じる細胞選抜および遺伝子の細胞への直接導入を経て重要作物にスパーオキシドディスムターゼ活性を強化し、各種ストレスに抵抗性を示す作物を得ることを目的としている。 上記目的達成のための1階段として、本年はホウレン草芽生えに対するcDNAライブラリーを作製し、その中より植物細胞質Cu、Znースーパーオキシドディスムターゼ(SOD)2種、クロロプラストSOD1種を同定しその構造解析を進めた。また、これらcDNAのうち細胞質SoDの1つをプローブとしてイネ核遺伝子ライブラリーよりイネSOD遺伝子の1つを単離した。現在この遺伝子解析を進めている。 一方、細胞の形質転換法の1つとしてイネ培養細胞への電気パルスを用いるDNAの直接導入を試みた。その結果、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流にβーグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を結合させた構造のDNA配列がイネ培養細胞へ導入され発現することが判った。この方法を用い、上述のSOD遺伝子を細胞へ直接導入し各種ストレスに抵抗性を示す新品種を作製する手掛りを得た。 なお、タバコ培養細胞について得たパラコート耐性カルスから再分化した植物体は、パラコートのみならず、公害ガスであるSO_2についても耐性を示すことが明らかとなった。
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