研究課題/領域番号 |
63860006
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研究機関 | (財)日本きのこセンター |
研究代表者 |
小松 光雄 日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究部長 (60088846)
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研究分担者 |
前田 好之 財団法人 日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究員 (90209370)
佐藤 文彦 京都大学, 農学部, 助手 (10127087)
中井 幸隆 財団法人 日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究室長 (00088840)
山田 康之 京都大学, 農学部, 教授 (50026415)
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キーワード | 担子菌きのこ類 / プロトプラスト培養 / 脱二核化 / 品種改良技術の効率化 |
研究概要 |
本年度は、前年度の研究で明らかにした実験手法に基づきシイタケならびにヒラタケの二核菌糸から脱二核化した一核性プロトクロ-ンの核型検定およびそれらの交配で生じた新生二核菌糸の遺伝子諸形質を解析するとともに、マッシュル-ムプロトプラストのより効率的な調製および培養条件について検討した。その結果、以下の成果が得られた。 1.マッシュル-ムについては菌糸体100mg(乾重)当り3×10^7個のプロトプラストを分離できる作出糸を確立した。その再生については、供試総プロトプラストの約30%が菌糸に再生・復帰する培養条件を見出した。 2.既報のシイタケ、ヒラタケならびにタモギタケでのプロトプラスト培養による脱二核化法を準用することで、本年度新たに供試したウスヒラタケでも75〜95%の確率で一核性プロトクロ-ンが取得できた。このように本法はかなり汎用的なきのこ類の脱二核化法であることが示唆された。 3.シイタケおよびヒラタケの二核菌糸数菌株から分離した一核性プロトクロ-ンの核型を交配によって検定した結果、どの菌株においても2種類の構成一核菌糸が出現し、その出現割合は菌株により約1:1ないし1:10の範囲であった。この構成一核菌糸の出現割合の偏りは、交配に用いた親の一核菌糸のプロトプラスト再生率とその再生菌糸の生育程度に起因するものと推察された。また、これらの一核性プロトクロ-ンの菌糸生長、菌叢形態およびアイソザイム等の諸形質はそれぞれの親一核菌糸のそれらにほぼ類似した。一核性プロトクロ-ン間の交配で生じた新生二核菌糸体に由来する子実体の形態的特徴は分離に用いた親菌株の子実体のそれに一致することをヒラタケで確認し、シイタケでは分析を継続中である。
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