研究概要 |
1.主要山菜の自生地養成栽培について 主要山菜ワラビの自生地の生育最適環境条件を明らかにすることを目的として、自生地の下草の刈払いの程度、自然光を寒冷紗で遮光の程度を変えて日照量の強弱、窒素・リン酸・カリの施肥量などの処理を組み合わせて行い、生育状態や品質について調査した。下草の刈払いによって根株からの発生茎数が増加し、遮光による日照量の低下によって幼茎の展葉が遅れ、幼茎長が増大し、施肥によって幼茎の生長が助長され、太く品質が良好となった。今後、主要山菜類の自生地の生育環境を一層整備して自生株の養成をはかり、積極的に高品質の増産をはかる可能性が示された。 2.主要山菜の生理生態的特性について ギョウジャニンニクの種子は果実開発後1か月間は休眠状態にあり、休眠は高温条件によって打破された。種子の発芽適温は17〜21℃で、暗発芽性がみられた。ギョウジャニンクの実性1,2年目の株では展開葉の幅が狭くて1枚しかなく、幅の広い成形の葉が2枚以上展開するのは実生3年目以降であった。葉の生長適温は13〜21℃で、生長力の高い時期には5℃でも伸長がみられた。株は盛夏〜初冬季に自発休眠に入り、1月には消失した。休眠打破には5℃で3か月間以上の低温処理が必要であった。ギョウジャニンニクの年間温度周期性は、3か月間の低温条件(休眠打破期間)とそれに続く5か月間の中温条件(生長期)の8か月間で構成されていた。アサツキについては、東日本から20系統を収集し、葉、球、小花の形質から5群に分類できた。8系統は種子生産量が比較的多く、実生栽培が可能であり、さらに数系統は実生栽培が経済栽培として成立する可能性が示された。オオバギボウシ、コバギボウシ、オオナルコユリ、アマドコロ、ユキザサの生育及び増殖の様相を調べた。
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