Bacillus thuringiensisの生産するプロトキシン蛋白は鱗翅目昆虫の幼虫に対し致死的毒性を持つ。本研究ではこの蛋白の構造と機能を知ること、およびその遺伝子を植物体へ導入し害虫の生物学的防除を計ることを目的とする。毒性に必要な領域はプロトキシンのN末端よりアミノ酸残基612(トキシン)であり、さらに9残基C末端から失うと毒性を失う。このようなトキシンのC末端の重要性を知るため、これをコードする遺伝子の3'末端より順次欠失変異を作り、その末端にナンセンスコドンおよびBamHI切断部位から成るリンカーをつなげ、大腸菌ファージであるM13ヘクローン化した。サンガー法により欠失部位の塩基配列を決定した。求める変異がいくつか得られた。これら変異について毒性試験を行い、どのアミノ酸を欠いたら毒性を失うか決める予定である。一方、植物体へ導入する第一歩としてプロトキシン遺伝子の全域を含む3.8KbNdeI断片をpuc13へサブクローン化した。この上流に植物体で働くカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターをつなげ、さらにTiプラスシドベクター糸へクローン化する予定である。そのために植物の形質転換系が必要である。我々の分離したAgrobacteriumヘバイナリーベクターであるPBI101(カナマイシン耐性)を導入し、ペチュニア、タバコ、ポプラの葉に感染させた。現在ペチュニアについてはカナマイシンを含む培地で葉および茎を分化した植物体が得られた。この植物体に実際DNAが挿入されているかどうかSouthern blotにより調べる予定である。
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