平成元年度はAl資材の施用が八郎潟低湿重粘土・畑圃場における土壌構造の安定性と作物(大麦)の生育、収量に及ぼす影響について検討した。 〔試験区の構成と試験方法〕1.Al単独区、2.Al+堆肥区、3.堆肥区、4.対照区を設け(一区50m^2)、AlはヒドロキシAlで土壌CECの25%相当量、堆肥は1ten/10a相当量をそれぞれ大麦播種前(1988年秋)に施用し、大麦収穫後(1989年夏)に各試験区の土壌調査と分析試料の採取を行った。 〔主な成果〕1.Al単独区およびAl+堆肥区では2mm以上の団粒分布量が増加し、粗孔隙分布量は高まるが、コンシステンシ-状態や土壌構造安定度指標などには大きな差がみられなかった。 2.Al単独区においては対照区に比べ2〜4mm団粒分布量が増加し(作土層)、下層土においては気相率の増大に伴う液相率の低下がみられた。またpF0〜1.8孔隙分量の増大とpF3.0〜4.2孔隙分布量の減少がみられ、断面全体に通気性、透水性が改善される方向に変化することがわかった。 3.Al+堆肥区においては対照区に比べ作土層の2〜4mm団粒分布量が高く、pF1.8〜3.0有効水分量も2〜5%高まる方向に変化していた。しかし、下層土における物理性の改善効果はみられなかった。 4.堆肥区においては対照区に比べ団粒分布量、土壌の物理性に大きな相違はみられなかった。 5.跡地土壌の化学性は各試験区間で大きな相違はみられなかった。 6.大麦の生育、収量は対照区が最も優っており、ついでAl+堆肥区、Al単独区、堆肥区の順であった。Al資材添加区で対照区より収量が低下した原因は、Al資材添加区で初期生育が抑制されたためであると考えられた。
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