研究概要 |
水野,原田が染色体マ-カ-の開発と動物培養細胞への遺伝子導入と発現の研究を、結城がトランスジェニックマウスでの導入遺伝子の安定性の解析を行った。動物個体への染色体導入まで実験を進めることはできなかったが、遺伝子レベルの研究ではそれぞれに興味深い成果が得られた。 1.性染色体マ-カ-の開発 ニワトリのW染色体に特異的なXhoIー0.7kbおよびECORIー1.2kb反復単位,シチメンチョウのW染色体に特異的なPstIー0.4kb反復単位 キジのW染色体に特異的なTagIー0.5kb反復単位をそれぞれクロ-ニングし,塩基配列を決定した。ニワトリの両クロ-ンを用いてスロットブロットおよびin situハイブリダイゼ-ションを行ない DNAレベル,染色体レベルで雌雄判別が確実に行えることを示した。 2.動物培養細胞への遺伝子導入と発現 導入遺伝子を誘導的に発現させる方法を主として検討した。ニワトリ胚由来の繊維茅細胞とヒトのHeLa細胞にグルココルチコイドホルモン倍存性のMMTVーLTR発現ベクタ-にCAT遺伝子やラミン遺伝子cDNAを組み込んだものと,グルココルチコイドホルモンレセプタ-を発現するpMMGRをCaPi法で同時導入したのち,デキサメタゾンを加えて遺伝子発現を誘導することができた。 3.トランスジェニックマウス中の導入遺伝子の安定性 アデノウィルスE1Aを組み込んだ発現ベクタ-pSV2ーgptgEIAを導入されたトランスジェニックマウスを交配すると,逆方向に連絡された導入遺伝子は順方向に連絡された導伝子に較べて著しく不安定で子孫マウスのゲノムから失われて行くことが明らかになった。
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