E.ananasIN-10の氷核遺伝子inaIN-10の全構造を解明することを目的として、E.ananasIN-10DNAを、Sau3AIで部分消化し、λEMBL3ファージベクターとライゲートし、ライブラリーを作製した。約15000のプラークから、inaZの繰り返しモチーフ(24mer)の合成オリゴヌクレオチドをプローブとしてスクリーニングした結果、約20の陽性クローンが得られた。構造解析したところ、inaIN-10は、全長約4kbpで、その中央部に16アミノ酸残基を単位とする約70の繰り返し配列を含んでいた。これをinaZおよびinaWと比較すると、後者とより高度の相同性が見いだされた。次いで、inaIN-10の全長を含むSmaI断片(約5kbp)をpUC18のHincII部位に挿入した。5'および3'末端からのトランケーションはエキソヌクレアーゼIIIおよびマングビーンヌクレアーゼを用いた単方向欠失法により、E.caliMM294に再導入することで行った。氷核活性は、22℃で2日間のE.coli培養液を-5℃まで冷却する過程での過冷却度の程度を測定することによって求めた。その結果、inaIN-10全長を含むプラスミドpSMA27を有するE.coliは、E.ananasIN-10と同程度の強い氷核活性を示した。5'ートランケイティッド ミュータントは、用いたベクタ-pUC18 lacZと読み枠が合う場合にN末端約460アミノ酸残基を欠失しても活性を示した。3'ートランケイティッド ミュータントでは、終止コドン直後まで欠失させても活性が残存するのに対して、終止コドンより上流の約100bpまで欠失させると活性は全く消失することが判明した。
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