現在日本に於ける食用担子菌の生産はシイタケをはじめナメコ、ヒラタケ、エノキ等、多くの種類が栽培されている。しかし生産量、生産額ともシイタケが大部分を占めている。近年シイタケの生産も増加の傾向にあるために、原木の不足と言う深刻な問題生じてきている。最近木粉等を用いたシイタムの新しい栽培法が検討されているが、ホダ木生産と比較すると、その生産性、品質などに於て未だ多くの問題点を有している。 今回の研究ではミズナラ、ブナの木粉を用いて添加物の有効性、培地の表面加工、適性菌株の選定、露地栽培の可能性の検討を行って、以下の結果をえた。発茸室での試験では培地最適合割合はミズナラ:ブナ:フスマ=6:3:1に木炭1%添加したものの組成で含水率が60%のものが良好な収獲量をしめした。培地の表面加工法検討し、菌まわりを完了した培地の表面をラップ、コルクシ-トで覆うことにより、発茸期間の短縮、収量増加など栽培条件の改良が認められた。露地栽培に適した菌株の選定を行うため、14種の菌株を用いて試験を行い、2種の優良な菌株を選定し、また夏期と秋期でそれぞれに適した菌株のあることを明らかにした。露地栽培に適した培地組成としてブナ:フスマ=9:1で含水率60%のものが良好で、それにサンパ-ルCP1%添加により収量が増加が認められた。露地栽培は発茸室内の栽培と比較すると、収量は低下するが、傘の色が良く、適度な含水率の子実体を生産することが出来た。
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