研究課題/領域番号 |
63860023
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 浩二 京都大学, 農学部, 教授 (30026504)
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研究分担者 |
土屋 道典 王子製紙, 中央研究所, 上級技師
蓮池 牧雄 京都大学, 農学部, 助手 (90026568)
山内 龍男 京都大学, 農学部, 助手 (40093330)
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キーワード | 熱分析 / 湿潤パルプ / 製紙特性 / 叩解 / 水和 / 不凍水量 |
研究概要 |
熱分析によるパルプ製紙特性評価法の開発を目的に、本年度は試料として軽度に叩解した針葉樹さらしクラフトパルプを選び、熱流束型示差走査熱量計(DSC)による熱的性質の測定手順(温度範囲:-50〜120℃)および測定結果の解析法について検討を加えた。 1.DSC法による測定手順の確立(山内、蓮池、土屋) 再現性のある降・昇温DSC曲線を得るためには、試料チャンバーの温度コントロールおよび試料装填の方法が特に重要と考えて検討を進めた。その結果、温度コントロールについては装置附属の冷却槽の外周部に断熱材を加えて二重構造とし、冷媒としてドライアイスーエタノールを使用する必要のあること、試料装填方法については、風乾あるいはそれに近い状態の試料の場合、常法であるクリンプ、すなわち試料をアルミカップに圧搾、封入する方法、また試料の含水率が高く、圧搾過程で繊維内の水分の移動、再分離が生ずる場合には、クリンプすることなく、アルミカップの上部を曲げて軽くふたをするのが適切であることが判明した。 2.DSC曲線の解析(山内、村上) DSC曲線は試料の含水率に依存して変化する。含水率150%以上の試料の融解曲線のピーク温度は水のそれ(4℃)にほぼ等しいが、含水率の低下に伴って、ピークは低温側にシフトしてブロードになり、最終的にはピークが消失する(不凍水のみ)。融解熱量を含水率に対してプロットした結果、直線関係が得られ、この関係から試料の不凍水量を正確に求め得ることが判明した(供試試料の不凍水量:22%)。なお、不凍水量は湿潤状態における試料の特性値の一つとなるものである。 以上、DSCによる測定法とその解析法について予定の成果を得たので、現在、熱分析結果と紙の物性との関係について検討を進めている。
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