本研究の目的は、(イ)日本の遺跡から出土する木材あるいは木製品の利用樹種を調査することにより古代の人々と木のかかわりを明らかにすることおよび、(ロ)パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと省略)に入力されたデータを広く関連の研究者に利用できるような古材データのステーションをつくることにあった。 本年度得られた成果は下記のとおりであり、当初の目的の前半部が達成された。 1 日本の遺跡を4つにわけ、出土木製品の資料調査の研究分担をおこない、北海道、東北、関東は伊東が、中国、四国、九州および北陸、中部、近畿は林が遺跡出土木材の樹種同定に関する文献の調査をおこない、約400篇の報文を入手した。 2 文献に通し番号をつけ、樹種同定のデータを、製品群(26の製品群)、製品名、樹種名、件数、時代、遺跡名、遺跡所在地、同定者名、文献番号に整理した。 3 代表者および分担者が学生アルバイトの協力を得て、パソコン用ソフト「マルチプラン」により上記データをコンピュータ入力した。 4 すべてのデータがまとまった段階でこれらデータをパソコン用ソフト「Dーベース」に移し替え、種々の並べ替えをおこなった。 5 データの重複あるいは入力ミス等についてチェックをおこなった。 6 最終的に、製品群ごとに使用樹種、件数、出土時代、遺跡名を整理した後データをパソコン用ソフト「一太郎」に移し替えた。 7 「一太郎」によりプリントアウトした原稿を「木材研究・資料」に投稿した。 8 上記原稿を元にし、これに古代における樹種の利用傾向について解説をつけて「日本の遺跡出土木製品総覧」という書名で出版した。
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