研究分担者 |
川合 哲夫 塩野香料(株), 基礎研究部, 主任
蟹沢 恒好 高砂香料工業(株), 総合研究所, 部長
内田 有恒 京都大学, 農学部, 助教授 (50027190)
坂口 守彦 京都大学, 農学部, 教授 (00027187)
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研究概要 |
本年度は、微細藻類の魚介類フレ-バ-の中で、揮発性有機イオウ化合物,特にジメチルサルファイドに注目して研究をおこなった。 渦鞭毛藻の1種であるCrypthecodinium cohniiガンのジメチルサルファイドを大量に生産することから,本藻の大量培養系の確立をおこない,12gwetaeight cells/lの収率を得られるようになった。 また、本藻を用いて.ジメチルサルファイドの生合成系を調べたところ、無機の硫酸(海水中に存在する)はメチオニンにまで合成され,このメチオニンからジメチルーβープロピオテチンを経ていることが明らかになった。特にメチオニンはピリドキサ-ル燐酸を補酵素とする脱炭酸酵素でまず脱炭酸され,その後,脱アミノとメチル基添加反応を経てジメチルーβープロピオテチンとなる経路を明らかにした。このジメチルーβープロピオテチンは、アルカリ処理あるいは酵素的にジメチルサルファイドとアクリル酸となる。 このジメチルーβープロピオテチンは構造的に類似しているメチルメチオニン同様、胃潰瘍を防止する作用を有することが確認され.C、cohniiの藻体そのものにもその活性が認められた。 C、cohniiの揮発性化合物としては、ジメチルサルファイド以外に、アクリル酸,甘い香気をもった3ーhydroxyー2ーmethylー4Hーpyranー4ーone(maltol),2ーhydroxyー3ーmethlー2ーoyclopentenー1ーone(oyclstene)および2,5ーdimethlー4ーhydroxyー3(2H)ーfuranone(furaneol)が比較的多く存在していた。 食物連鎖の上位に位置するアサリやイカの含硫香気成分としては、ジチアジンやジアチアジンが多いことも明らかになった。
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