本年度はバナナの自動追熟のための装置を製作することを第一の目的として研究を行った。追熟チャンバはビニールテントと水槽から成っている。チャンバ(ビニールテント)のサイズは幅700mm×奥行き550mm×高さ1050mmで、12kg詰め段ボール2箱分のバナナの追熟が行える。水槽はチャンバの気密を保つためで、水槽に一定の深さの水を貯めテントの下端を水中に沈めることによってチャンバをシールする。追熟の自動化は追熟温度制御とチャンバの換気が主なものである。この操作はパーソナルコンピュータを使って行った。追熟温度制御は追熟中のバナナが放出するCO_2の累積放出量により行った。すなわち、バナナの累積CO_2放出量とバナナの果肉糖度の関係は既に明らかにされており、この考え方を基礎にした基本的な追熟温度プログラムも得られているので、この温度プログラムを基準にして追熟したときの累積CO_2放出量を基にし、その基準値からのずれにより、0.5℃または1℃追熟温度を上下するというアルゴリズムで温度の制御を行った。換気は追熟促進のために封入したエチレンの放出と、CO_2濃度がある一定値に達したときの空気の入れ換えのためである。エチレンの放出は追熟開始24時間後に行った。換気は超音波センサを使って水槽の水面のレベルを制御し、換気時は水槽内の水を排水し水面のレベルを下げて、ファンにより換気を行う。追熟温度および換気の完全な自動制御によるバナナの追熟実験を3回実施し、装置の作動状況と追熟の仕上がり具合について検討した結果、換気は設定通りに作動することが確認され、追熟の仕上がり具合についてもCO_2累積放出量との対応においてほぼ予測値に近い値が得られることが確認された。追熟温度の制御については、チャンバを設置している冷蔵庫の温度環境条件から、追熟温度が17℃以下に下がらなかったため、この点が今後の課題として残った。
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