本年度は、バナナの追熱自動化に関して前年度において検討課題として残された追熱温度制御の精度向上と、前年度では自動化がなされていなかったエチレンガス注入の自動化について検討した。さらに、キウイフル-ツを用いて貯蔵と追熱に関する実験を行い、キウイフル-ツについても追熱の自動化を計るための基礎デ-タを得た。 追熱の温度制御は、前年と同様に基準累積炭酸ガス放出量からのズレに応じて、追熱温度の基準温度からのプラス、マイナスの修正を加えて行ったが、前年通りの方法では、追熱終了時点での炭酸ガス放出量が目標値に対しかなりのズレを生じる場合があることが認められた。そこで温度制御のアルゴリズムに改良を加え実験した結果、温度制御の精度向上が確認された。 エチレンガス注入の自動化は、エチレンガスボンベ、圧力レギュレ-タ、ニ-ドルバルブ、電磁弁を使い、コンピュ-タにより電磁弁の開閉を制御することによって行った。ボンベからのエチレンガスをレギュレ-タにより、圧力を2Kg/cm^2に下げさらにニ-ドルバルブにより流量を調節して電磁弁を13秒開いてガスを流すことにより、チャンバ内のエチレン濃度が約1000ppmになるようにした。このエチレン注入自動化により、コンピュ-タのキ-ボ-ドから追熱開始の合図を送るだけで、その後の追熱操作はすべて自動的に行えるバナナ追熱自動化装置が完成した。 キウイフル-ツの貯蔵・追熱実験では、生研機構で開発されたヒットカウンタで非破壊的に測定される硬度(ヒットカウント値)とキウイフル-ツの貯蔵・追熱中に放出する累積炭酸ガス換算がす量との間に高い相関関係が認められた。このことから、累積炭酸ガス放出量を知ることによって、キウイフル-ツの硬度したがって熟度を予測することができるものと考えられた。
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