収穫後も成熟を続ける果実は、収穫後の成熟を適切に行うことによって商品価値を高めることができるが、逆の場合は商品価値を著しく損なう結果となる。本研究では、バナナおよびキウイフル-ツを対象としてバナナについては追熟を適切に行う追熟自動加工装置の開発、キウイフル-ツについては、追熟の自動化のための基礎デ-タを得ることを目的とした。 バナナの追熟自動加工装置の開発に関しては、先ず高さ1050mm×幅700mm×奥行550mmの枠に塩ビ製のテントをかぶせた追熟チャンバを製作した。12kg詰めバナナ2箱がこのチャンバで追熟可能である。チャンバの気密を保つためにテントの下端を水槽の水に漬けるようにした。このチャンバの追熟操作自動化のために、エチレン注入および換気の自動化を行った。エチレン注入の自動化はエチレンボンベ、レギュレ-タ、ニ-ドルバルブ、電磁弁を使い、コンピュ-タで電磁弁の作動時間の制御により行った。換気は、水槽の水面を排水によって下げ、テントの下端を解放することによって行った。換気はチャンバ内炭酸ガスが所定の濃度に達したとき行ったが、水槽の排水制御は超音波液位計とコンピュ-タで行った。一方、追熟温度の制御はバナナの果肉糖度はバナナが呼吸により排出する炭酸ガス量と相関が高いことから、累積炭酸ガス量を基準にして、その炭酸ガス量が得られるように温度を制御することによって行った。種々の追熟自動加工実験から、予測通りの糖度のバナナを得られることが確かめられ、バナナの完全追熟自動化装置として充分な性能を有していることが確認された。 キウイフル-ツの貯蔵・追熟実験から、キウイフル-ツの硬度が累積炭酸ガス放出量と相関が高いことが認められ、バナナと同様、累積炭酸ガス量から熟度の推定が可能であると考えられた。
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