研究課題/領域番号 |
63860036
|
研究種目 |
試験研究
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 康之 東北大学, 農学部, 教授 (90005637)
|
研究分担者 |
梅津 元昭 東北大学, 農学部, 助手 (30005649)
加藤 和雄 東北大学, 農学部, 助手 (60091831)
庄司 芳男 東北大学, 農学部, 助手 (60005642)
太田 実 東北大, 農学部附属農場, 助教授 (00005670)
|
キーワード | 牛初乳 / インスリン様成長因子 |
研究概要 |
初乳からインスリン様成長因子(IGF-I)を抽出する方法を開発するに先立って、はじめに初乳へのIGF-I分泌動態をホルスタイン種乳牛6頭について検討した。分娩前後2週間にわたって血漿インスリン、グルカゴン、成長ホルモン(GH)、IGF-Iの各ペプチドの変動を測定した結果、インスリン、グルカゴンに変動はみとめられず、GHは分娩後一過性に上昇した。しかし、GHは主として肝臓からのIGF-I分泌を促進することが知られているにもかかわらず、分娩前後に泌乳牛の血漿IGF-Iはほぼ一定のレベルにあった。一方、初乳IGF-I含量は分娩初日において極めて高く、血漿IGFーI濃度をはるかに凌駕し、以後分娩後日数経過にともなって漸減の傾向をたどって、分娩4日以後は血漿濃度より低値を示した。したがって、分娩直後の初乳IGF-I高含量は血漿IGF-I動態を反映するものではなく、この時期に何ら機作によって初乳へのIGF-I分泌が高まるものと考えられた。一方、上記ペプチド類の中でインスリン、グルカゴン、GHなど初乳中濃度が低いものは、いずれも血漿中の結合蛋白が知られておらず、IGF-Iのみが結合蛋白に結合して存在することが知られていることから、初乳IGF-Iの存在様式を検討した。その結果、酸・エタノール処理を行ったときに初乳IGF-Iは高濃度に検出されるが無処理では全く検出されず、初乳IGF-Iは蛋白結合型として存在することが示唆された。結合タンパクからのIGF-I分離は酢酸にてpH3.6〜3.8とするとき最大となることが、脱脂後にpH4.4でカゼインを沈澱させたホエーを用いて明らかにしたが、更に、ホエーを得る手段の一つとしてレンネットを供試してみたところ、レンネット処理によって結合タンパクからIGF-Iが解離する可能性が見出された。この方法は大量且つ簡便にIGF-Iを精製する今後の方法開発に極めて重要な手段となるので、目下、レンネットによるIGF-I解離について検討を加えている。
|