研究概要 |
1.牛初乳IGFーIの抽出精製 初乳からアセトンパウダ-調製に至る操作について、前年度までに検討した過程を簡便化した。すなわち、37℃保温初乳にキモシン(0.1mg/ml)を添加して生成させた凝固カ-ドを細切し、冷却遠沈してホエ-を得た。これにより脱脂およびホエ-調製を同時に行うことができた。次いで、ホエ-1容に酸エタノ-ル混合液4容を加え、撹拌し、室温30分静置後遠沈して得た上清に冷アセトン3容を加えてアセトンパウダ-をとり、これを水に容解後、凍結乾燥し、以後のカラムクロマトグラフィ-に供した。この過程は前年度までと同様である。次いで、アセトンパウダ-をセファデックスG50に供し、1M酢酸で溶出してIGFーI活性の認められた分画番号23〜30(MW7,000付近)を凍結乾燥して、更にTSKG3000にてゲル濾過を行った。TSKG3000に、アセトンパウダ-を直接に供した前年度までの操作の中間に、セファデックス処理を導入することにより精製効率は向上した。TSKG3000溶出液のIGFーI活性画分を、ODPー50アセトニトリル(20ー50ー80%・TFA0.05%)の逆相クロマトグラフィ-により更に2回精製した。精製各段階におけるIGFーI免疫活性(比活性ngIGFーI/mgタンパク)は、アセトンパウダ-,43;セファデックスG50,731;TSKG3000,1,643;第1回ODP50,32,220であり、この段階では約3%の含量であった。第2回ODP以後の精製を更に進める必要がある。 2.牛初乳IGFーIの生物活性検定 L6筋芽継代培養細胞を用いて、精製段階でのIGFーI生物活性を定性的に検討した。アセトンパウダ-の生物活性は低かったが、ゲル濾過標品では、紡錘型L6細胞が多角化して突起を伸ばしたことから、この過程で生物活性は失われず、生物活性の精製度は明らかに上昇した。
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