4ないし32チャンネルの多点記録用金属用金属多重微小電極を設計し製作した。電極の芯材としては記録および通電性能に優れたエルジロイ合金を用い、これをエッチングし尖端部を形成してから低融点がガラスによりコ-ティングし、尖端電極を形成してからガラスの上に微細加工を行い、多重電極とそのリ-ド部を形成した。それらのパタ-ン形成のために、マイクロパタ-ニングの技法を応用した。微小な金属針の先端に多数の電極を作成するには、表面に均等な間隔でラセン状の配置をさせつつ、連続したパタ-ンを三次元的に形成する必要があった。真空蒸着法によってまずクロ-ムを、次に金を蒸着し、薄膜形成を行った。次いでネがしジストを塗布し、三次元的に正確なパタ-ンを描くための自動化された制御装置が必要であった。電極をXYZの三次元方向に微動させ、紫外線ビ-ム露光を行う装置を作成し、それらをマイクロコンピュ-タで制御するためのプログラムを開発した。20×20μmの電極を200μの距離で定間隔に装着し微細リ-ド線をコネクタ-部まで形成することができた。リ-ド線で導いた多重出力を一端マルチプレクサ-ICに入力して、任意の組合せで出力が取出せるようにした。その出力をリニアICで差動増幅し、次にアンプへ接続して増幅波形を観察した。一本の複合電極の異った点からの導出によって、10個以上の細胞の発射活動が同時に記録でき、その記録の分析から細胞の皮質内の深さを推定できた。以上はラットを用いた実験であるが、さらにサルを用い、全身麻酔下に頭蓋上に記録用シリンダ-を装着し、それに合せた電極ドライバ-を介して電極を刺入し、マイクロマニピュレ-タで微小操作しつつ任意の位置に電極を移動させた。あらかじめ訓練された運動を動物に行わせ、その運動遂行中に大脳運動野から細胞活動記録を行った。複数の細胞の発射活動相互の関係ならびに運動との関連を解析することができた。
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