電気生理学的に機能を同定した単一神経細胞の全体像を、側筒鏡付顕微鏡を用いて記録トレ-スすることが、従来より行なわれているが、この解剖学的な解析に余りにも多くの時間を要することが大きな問題であった。この時間を短縮し、三次元構造の解析に最も効率的に使える機械を作製することを試みた。本研究は顕微鏡のステ-ジ上の切片の動きに連動して移動する描画装置を開発することにより、単一神経細胞の形態の三次元的再構築の解析精度と効率を飛躍的に改善し、形態解析の新しい発展を目指すものである。本試作機はこの目的を達するに十分な性能を有することが確認された。その理由は第1に、広い範囲にわたる神経突起の分布の解析に適しており、従来の方法の1/2〜1/3に時間を短縮することが可能となった。第2に、X、Y、Z軸方向の座標が解析できるようになったので、各切片ごとにX、Y軸の座標値はディジタル的にマウスで入力を行い、各点のZ軸は数値として入力すれば、コンピュ-タ-を用いて画像を描かせたり、定量的解析を行う事が可能となっている事による。神経細胞の神経突起の三次元的表示、及び、様々な角度から眺めた像を作る為のコンピュ-タ-グラフィクスのソフトウェアの作製は、今回の研究には含まれていなかったが、本試作機はこれらの目的の為にハ-ドウェアとしては必要な情報を取り出す事が十分可能となるように設計されている。今後、コンピュ-タ-プログラムを作製することにより、EURECシステムに匹敵する三次元コンピュ-タ-解析描画装置に発展させていくことが期待できる。従来のコンピュ-タ-システムでは、デ-タのインプットに膨大な時間が費やされたが、本方法では大幅にその時間が短縮されることになる。顕微鏡のZ軸移動部を改良し、X軸、Y軸と同様にモ-タ-でコントロ-ルできるようにして、Z軸座標の計測装置を内臓させると、さらに効率が上がる。
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