研究概要 |
今年度は昨年度作製した携帯型装置の評価を中心に行った。まず,運動時の酸素摂取量を試作した携帯型装置と市販の据置型酸素摂取量測定装置(Magna88,P.K.Morgan U.K.)を用いて測定し,装置の性能表価を行った。運動には自転車エルゴメ-タおよびトレッドミルを使用し,それぞれ健常成人男子7名について測定を行った。また,装置の装着が被験者に与える負担を調べるため,各運動負荷中,アンケ-トを実施した。実験終了後,携帯型装置のデ-タをコンピュ-タに転送し,酸素摂取量の算出を行った。また,連続測定装置のデ-タも同一のコンピュ-タに転送し,両測定値の比較を行った。携帯型装置と市販の据置型装置との間の相関係数は,自転車エルゴメ-タにおいて0.973,トレッドミルでは0.932であった。また,安静時も含めて運動負荷別に両測定値を比較した結果,いずれも最大負荷まで両者の間に有意差はみられなかった(Paired tーtest,p>0.1)。さらに自転車エルゴゴメ-タ負荷時(5分間の安静ののち,60rpmの回転数で25Wから175Wまで4分毎に25Wずつステップ状に負荷を増加させ,運動終了後10分間安静状態)の携帯型装置と市販の据置型装置で測定した酸素摂取量はほぼ一致した変化を示した。アンケ-トを集計した結果,運動負荷が軽い間は同程度の回答であったが,負荷が増すにつれて両装置の装着感に差異が生じた。暑さについては,携帯型装置で測定した場合の方が暑くなる傾向にあった。その他の項目については,連続測定装置で測定した際に,より負担が大きい結果となり特に呼吸の抵抗感と痛みを訴えた者が多かった。 また,日常の行動,サイクリング,自動車運転などのフィ-ルド実験を行い,いずれの場合もなんら支障なく測定が行われた。
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