血液のアンモニア濃度を電気的に連続的に測定することを目的として、Ir-Pd-MOSダイオ-ドを用いた半導体センサ-の作成を試みた。その結果、0-15ppmのアンモニアの濃度変化に対して、200mVの変化が得られた。またSnO2を主成分とする焼結型半導体についてもアンモニアに対する応答性を検討し、0ー80ppmの間でセンサ-抵抗値の対数が直線性を示した。さらに応答範囲の広い方法を得るため、アンモニア透過膜としてpolytetrafluoroethyleneを用いたアンモニアガスセンサ-型電極についてもその性能を検討したところ、0.1-20mMの広い範囲で直線性を示した。またこの方法はガス及び溶液のいずれをもサンプルとして使用可能であり、またハウジングの組立や、使用目的に応じた測定系の変更も容易であるため、この電極法を用いて以下の検討を行った。 全血の尿素(BUN)を連続的に測定するため、ビ-ズ状のホルミルセルロファインにウレア-ゼを固定化し、この酵素を微小カラムに充填して血液を通し、その際に発生するアンモニアから尿素を連続的に測定した。その結果尿素濃度として0.1-100mMの範囲で尿素濃度の対数と電極電位の間に直線関係が得られ、血液や尿などの体液の尿素濃度を連続的に測定することが可能となった。この尿素の連続測定法をヘマットクリト値の連続測定法と同時に用いて、腎透析患者の血中尿素と循環血液量の指標としてのヘマトクリット値を連続的に測定することに成功した。 この方法は、他の酵素を用いることにより各種の蛋白代謝産物やアミノ酸の血中動態及び代謝の解析にも応用が可能である。また、今後人工透析経過の自動的なモニタリング、さらには腎透析装置の自動運転化への臨床応用が可能と考えられる。その他この方法はスペ-スステ-ションなどの閉鎖環境内の汚染度をモニタ-することなどへの応用も可能と考えられる。
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