研究課題/領域番号 |
63870011
|
研究種目 |
試験研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中 千賀子 神戸大学, 医学部, 教授 (20025571)
|
研究分担者 |
斎藤 尚亮 神戸大学, 医学部, 助手 (60178499)
久野 高義 神戸大学, 医学部, 講師 (50144564)
谷山 紘太郎 神戸大学, 医学部, 助教授 (70030898)
西塚 泰美 神戸大学, 医学部, 教授 (10025546)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
キーワード | プロテインキナ-ゼC / サブタイプ / クロ-ニング / 中枢神経系 / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
ホルモンや神経伝達物質による生体情報の伝達機構の中でプロテインキナ-ゼCは主な細胞内情報系としてその普遍的な重要性が確立され、広汎な医学領域において病態解析への新しい方向を与えるものとして注目されている。プロテインキナ-ゼCは生化学的、分子生物学的解析により多数の遺伝子に由来する分子複合体であることが明らかになった。これらのプロテインキナ-ゼC群はそれぞれの活性化様式基質特異性に特徴があり、またこれらのサブタイプは明らかに組織細胞内局在を異にする発現特異性を示すことから、細胞はそれぞれ固有のプロテインキナ-ゼCを有し独自の情報伝達に関与する可能性がある。本研究ではプロテインキナ-ゼCを介する細胞内情報伝達系に焦点をあて、次の試験的研究を行うことを目的とした。プロテインキナ-ゼCの極めて類似する7種のサブタイプについて得その全構造を決定し、それらのアミノ酸構造を手がかりにオリゴペプチドを合成し、サブタイプ特異抗体を作製した。これらのサブタイプの脳内分布を免疫組織化学的手法を用いて検討すると各サブタイプは各々異なった分布を示した。又、このサブタイプの分布はいかなる神経伝達物質、あるいは受容体の分布とも完全には一致しなかった。さらに、電顕免疫組織化学的方法で各サブタイプの細胞内局在を脳の各部位で検討した。γタイプは細胞質、核、細胞膜、樹状突起、および神経終末に存在していた。β1タイプはニュ-ロンの細胞膜直下に分布し、β11サブタイプはニュ-ロンのゴルジ体周辺と樹状突起に存在した。海馬では、γーPKCは細胞体から樹状突起棘にわたり、広く細胞質に分布しているのに対して、β11ーPKCは、ゴルジ体周辺と樹状突起棘をのぞく樹状突起全体に存在していた。またγーPKC,β11ーPKCともに神経終末には認められなかった。これらの結果はプロテインキナ-ゼCの各サブタイプが、特定のニュ-ロン内での独自の情報伝達機構に関与し、海馬の長期増強においてはγーPKC,β11ーPKCが後シナプス性に関与していることを示唆している。
|