研究概要 |
(1)プロテインキナ-ゼC分子多種多様性 ラット脳ライブラリ-より7種(α,βI,βII,γ,δ,ε,ζ)のcDNAクロ-ンを単離し、それぞれの遺伝子産物の同定に成功した。また、PKCの構造と機能相関について解析を行ない、以下の結論を得た。 (1)TPA結合領域 Cystein-rich-sequenceを欠失したPKCcDNAを大腸菌において発現させ、PDBu結合能測定の結果、C_1領域のcystein rich repeatsの少なくとも一方の存在がTPA結合に必須であった。 (2)Calpainによる限定分解部位 PKC down regulationの引き金であるcalpainによる限定分解反応を解析の結果、calpainは活性化されたPKCをタ-ゲットとし、V_3領域を認識したが、各分子種により切断の部位、速度とも異なったものであった。 (3)Ca_<2+>応答領域 α,β,γタイプPKCともδ,ε,ζタイプPKCのリン酸化活性におけるCa^<2+>依存性を比較した結果、C_2領域の欠損したδ,ε,ζタイプPKCはすべてCa^<2+>応答性を示さなかった。 (2)分子種特異的活性調節 (1)脂肪酸及びその誘導体 in vitro assayにおいて、α、β、γPKCはすべてアラキドン酸により異なる様式で活性化を受けた。特にγPKCは比較的低濃度のアラキドン酸により、Ca^<2+>の存在なしに活性化された。また、ある種の脂肪酸のtrans型、及び脂質性オ-タコイドの一つとして知られるlipoxin AはγPKCを選択的に活性化し得る事が明らかとなった。 (2)Tamoxifen誘導体 乳癌治療薬として広く知られるtamoxifenの種々の誘導体を合成し、PKC活性阻害効果を検討した結果、C_3領域ATP結合部位に働くもの、C_1領域の活性化因子との相互作用部位に働くものなどを合成し得た。現在、変異領域(V)に働き、分子種特異的に機能抑制する誘導体合成開発を目標としている。
|