研究課題/領域番号 |
63870021
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
竹内 勤 慶応義塾大学, 医学部・寄生虫学, 教授 (00051847)
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研究分担者 |
川又 健 慶応義塾大学, 医学部・薬化研, 専任講師 (80051530)
堀 均 徳島大学, 工学部・有機化学, 助教授 (90119008)
稲山 誠一 慶応義塾大学, 医学部・薬化研, 教授 (30051030)
奥沢 英一 慶応義塾大学, 医学部・寄生虫学, 助手 (20177166)
小林 正規 慶応義塾大学, 医学部・寄生虫学, 助手 (70112688)
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キーワード | シャ-ガス病 / トリパノソ-マクルジ- / 化学療法 / ニトロイミダゾ-ル / アクリル酸ポリマ- |
研究概要 |
まず本年度に新規合成した2-ニトロイミダゾ-ルであるKIN831のトリパノソ-マクルジ-(T.cruzi)に対する作用を実験感染マウスを用いて検討した。マウスはC3H(4〜5週令)、原虫はTulahuen株を用いた。まず従来と同様にKIN831を200mg/kgの量で感染マウスに経口、及び腹腔内投与したが、後者において有意な治療効果を見た。すなわちコントロ-ルは感染後12日目に全て死亡したが、腹腔内投与群は全例急性期感染を耐過し生残した。6ケ月目まで観察したが、死亡例はなかった。しかし、感染後4ケ月目に至ると流血中にT.cruziの出現が確認され、組織病理学的にも筋組織内に炎症細胞の浸潤が認められた。また、やはり本年新規合成したアクリル酸とイソブチルビニルエ-テルの共重合体が強いマクロファ-ジ活性化作用を有することが我々の実験で明らかとなっているが、T.cruzi感染前にこの共重合体で4回、2日おきに前処置(0.22mg/ml の濃度で0.2mlを腹腔内投与)しておくとやはり有意な延命効果がみられた。しかし、流血中の原虫は消失せず、上記KIN831と同様の傾向を示した。更に以上の結果に基づいて上記の共重合体とミソニダゾ-ル、及びKIN831との併用効果を検討した。その結果は極めて良好なものであり、両者間の相乗作用が発現されたものと推測された。すなわち、T.cruzi感染前-7、-5、-2日目に共重合体を腹腔内投与し、感染後5日目よりミソニダゾ-ル、又はKIN831を200mg/kgの量で前者は経口、後者は腹腔内投与した場合マウスは全例急性期感染を耐過し、6ケ月後に至っても流血中に原虫の出現は認められず、また種々の筋組織を病理学的に検索したが、全く原虫の増殖、炎症細胞の出現は認められなかった。現在更に合成法を改良すべく検討を継続している。
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