研究課題/領域番号 |
63870023
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 理明 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (50029758)
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研究分担者 |
吉田 巌 (財)阪大微生物病研究会, 部長
白木 公康 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (50135745)
山西 弘一 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (10029811)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 水痘生ワクチン / B型肝炎ウイルス / レコンビントウイルス |
研究概要 |
水痘ワクチンウイルスのチミジンキナ-ゼ(TK)遺伝子にB型肝炎ウイルスS抗体(HBS)遺伝子を組み込み、HBS抗原を発現するレコンビナント水痘ワクチンウイルスを得た。ウイルスTKのopen reading frameの開始ATGコドンにframeを合わせてHBS抗原のpreSiのアミノ酸25コとHBS抗原全領域を発現できるようにTK遺伝子を含むプラスミド内に組み込みこのプラスミドDNAと水痘ワクチンウイルスDNAのトランスフェクションよりHBS抗原を発現するレコンビナントウイルスを得た。レコンビナントウイルスDNAのササンブロット解析によりHBS遺伝子がウイルスゲノムのTK遺伝子部位にあることが確認された。HBS抗原はレコンビナントウイルス感染細胞の細胞質に存在し、26Kと30Kの蛋白質を細胞内に30K、35Kの蛋白質を細胞外(培養上清)に認めた。この分子量の変化は、HBS抗原の細胞外への放出に伴い修飾されたものと思われる。また電子顕微鏡による観察にて、細胞質内30〜40nmの中空の円形模様HBS粒子をみとめ培養上清にも同様の粒子を認めた。モルモットにおいてこのレコンビナントウイルス2,000PFUにて感染免疫四週間後に水痘ウイルスに対してだけでなくHBS抗原に対する有意の抗体上昇を認めた。 以上のようにHBS抗原を発現するレコンビナント水痘生ワクチンウイスルは、モルモットに対し、水痘ウイルス及びHBS抗原に対する免疫誘導能を有していることが明らかになった。またこのウイルスは、継代に対して安定であった。このようにこの研究は現在使用されているワクチンを基礎として使用し、他のウイルス抗原を発現する多価ウイルスレコンビナント水痘生ワクチンの開発の方向付けとなる重要な意義のある成果である。
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