研究課題/領域番号 |
63870028
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岡田 晃 金沢大学, 医学部, 教授 (10019573)
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研究分担者 |
中村 秀喜 金沢大学, 医学部, 助手 (70172426)
野原 聖一 金沢大学, 医学部, 講師 (70115260)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 光センサ- / 血管弾性 / 指血圧 / 全血液量 / 動脈血酸素飽和度 / 振動工具使用者 |
研究概要 |
光センサ-を用いた末梢循環機能解析装置の開発に取り組み、種々の基礎的検路を行い、更にそれを振動工具取扱い業務従事者の末梢循環機能の評価に応用した。本装置では、還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、および全ヘモグロビンの吸光度に関係した波長光の発光ダイオ-ドを用い、透過光や反射光をフォトダイオ-ドで検出することによりいくつかの末梢循環指標の観察が可能となった。本研究の成果は以下の通りである。1)還元ヘモグロビン、酸化ヘモグロビンの吸光度がほぼ等しい波長光と最も異なる波長光の2つの光の透過光強度から動脈血酸素飽和度が無侵襲に測定される。2)ヘモグロビンを反映する波長光を用いてカフによる圧迫時における透過光強度の変化から指血管の最高血圧、平均血圧が測定される。さらに平均血圧の時の血管容積Vで規格化したvascular volume ratioが算出され、末梢動脈の圧容積関係が血管弾性として定量的に評価できる。3)末梢動脈の持つ非線形性そのものもカフ圧と透過光強度の関係から評価される。4)全ヘモグロビンを反映する2種類の波長光の透過光強度から組織血液量が連続的にモニタ-される。5)臨床的応用により軽度の末梢循環機能異常の早期診断、およびレイノ-現象などの自覚症状を訴える者の重症度の評価に有用である。以上、本装置の開発は従来の血流以外のいくつかの末梢循環指標の同時測定を可能とするものであり、末梢動脈の弾性持性を含めた末梢循環機能の加齢変化や動脈硬化性変化だけでなく、末梢循環障害の早期診断、重症度の判定への利用も可能である。今後は更に、振動・騒音・寒冷といった各種条件の単一あるいは複合した影響について本装置で観察可能な末梢循環指標に加え、組織血流量も含めた末梢循環機能を総合的に評価・検討していくことを計画している。
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