肝炎等に伴い出現する黄疸の本体はビリルビンであるが、このものの毒性とビリルビン分解酵素によって生ずる解産物の毒性について、まずin vitroの系で検討したところ、ビリルビン分解酵素によってビリルビンの毒性は完全に払拭した。ビリルビンの細胞毒性は蛋白、RNAおよびDNAなどの合成阻害に加えて、膜輸送阻害であった。本研究で作製したポリエチレングリコ-ル結合ビリルビン分解酵素は、もとの酵素とほぼ同様(約60%)の力価を有していた。また、この分解物は賢より尿中に容易に排泄され、もとのビリルビンは肝→胆汁の経路とは全く異っており、肝機能障害時でも有用と太えられた。ポリエチレングリコ-ル結合ビリルビン分解酵素は免疫学的にも、もとのものよりも生体親和性が増強され(抗原性もなくなり)将来、人間への応用が可能であることを示唆された。 以上のごとく、ポリエチレングリコ-ル結合ビリルビン分解酵素の減黄治寮法が可能であると考えられるのが、それには小児核黄疸や激症肝炎さらには肝炎殖予定小児の待機時の有用性が考えられるが、慢性化傾慶にあり肝炎等の自己免疫疾患的な状況下にあっては、我々は現在、酵素ラジカルの関与の可能性を見出しており、ラジカル除去酵素であるSODなどのポリマ-結合物との併用の有用性を考え、目下その方向に研究を発展されている。
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