研究課題/領域番号 |
63870036
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
林 恭三 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00029935)
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研究分担者 |
平谷 一 日本ケミカルリサーチ株式会社, 研究所, 研究所長
足立 哲夫 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (40137063)
平野 和行 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (90057365)
古川 昭栄 国立精神, 神経センター・神経研究所, 室長 (90159129)
西谷 裕 国立療養所宇多野病院, 院長
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キーワード | 高齢化社会 / 老人痴呆塩 / 酵素免疫測定法 / 神経成長因子 / ス-パ-オキシドディスムタ-ゼ / コリン作動性ニュ-ロン / 抗体 / 診断 |
研究概要 |
近年人口の高齢化に伴い老人痴呆は極めて重大な社会問題になりつつある。しかし発症の明確な原因はわかっていない。そこで老人痴呆症でみられるマイネルト基底核、ブロ-カ-対角帯の神経細胞の選択的変性や脱落によるコリン作動性神経ニュ-ロンの障害などの原因を究明し、老人痴呆症発症の原因を検索するとともに酵素免疫測定法や治療薬の開発を目的に本研究を行った。とくに本年度は神経成長因子(Nerve Growth Factor:NGF)、ス-パ-オキシドディスムタ-ゼ(Superoxide Dismutase:SOD)などの高感度酵素免疫測定法の開発とマウス脳アストログリア細胞を用いてその生合成機能を促進させる化合物の探索も行った。その結果、(1)マウスおよびヒトNGFを抗原として抗体を調製し、これらの抗体は用いて酵素免疫測定法を検討し、マウスNGFについては測定感度ほぼ1pg/tubeの高感度で簡便再現性の高い測定系の作製に成功した。しかし、ヒトNGFについてはその感度がマウスNGFの場合に比して悪く測定感度はほぼ1ng/tubeであった。老人痴呆症患者血中や組織中のNGFレベルの測定にはより高感度の測定系が必須であり現在さらに、検討中である。(2)Cu,ZuーSODについても測定感度ほぼ15g/tubeの測定系を確立することが出来た。そこでこれらの測定系のKit化についても検討を進めている。さらに、これらの測定法を活用しつつ老人痴呆塩患者血中のNGF,SODレベルの測定も考慮中である。(3)静止期のマウスアストログリア細胞を用いてその生合成能を促進する化合物について調べ、タバコタ-ル抽出物やベンゾキノン、パラキノン、ビタミンK3などに強いNGF生合成促進効果のあることを明らかにした。最近、NGFには記憶学習の改善作用のあることや脳コリン作動性ニュ-ロンの変性脱落の抑制効果のあることが報告されておりこれらの研究から老人痴呆症の治療薬が開発されることを期待している。
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