研究分担者 |
平谷 一 日本ケミカルリサーチ株式会社研究所, 研究所長
足立 哲夫 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (40137063)
平野 和行 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (90057365)
古川 昭栄 国立精神, 神経センター神経研究所, 室長 (90159129)
西谷 裕 国立療養所宇多野病院, 院長
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研究概要 |
高齢化社会において老人痴呆患者の増加は社会の根幹をゆるがす重大な社会問題となりつつある。しかし現在のところその有効な早期診断法や治療法はなく、それらの方法を確立することは極めて緊急を要する研究課題の一つである。現在老人痴呆発症の原因は明らかでないが、海馬や大脳皮質に投射するコリン作動性ニュ-ロンの選択的・障害が明らかになりつつある。一方、神経成長因子(NGF)はこれらのニュ-ロンの生存や機能維持、あるいは学習記憶に必要な神経栄養因子であることが明らかとなり老人痴呆発症と何らかの関連があることも考えられ多方面から注目を集めている。そこで本研究では老人痴呆に関与すると考えられるNGFやス-パ-オキシドディスムタ-ゼ(SOD),最近新生ラット終脳培養神経細胞の生存や神経突起伸展に機能することが報告されている上皮細胞増殖因子(NGF)などの酵素免疫測定法(EIA)を確立することを目的とした。その結果(1)NGF,EGF,SODなどを各種ゲル,イオン交換体,高速液体クロマトグラフィ-を組み合わせることにより高純度で分離する方法を確立した、(2)精製したNGF,EGF,SODを抗原としてポリ-およびモノクロ-ナル抗体を調製した、(3)調製した抗体を試料としてFab'画分を分離し、パ-オキシダ-ゼあるいはβ-D-ガラクトシダ-ゼと共有結合させた複合体をつくり、固相にポリスチロ-ルチュ-ブ、あるいはポルスチロ-ルビ-ズを用いた2相サンドウィッチ法によるEIAについて詳細に検討し、高感度(ほぼ1〜10pg/tubeあるいはbead)のEIA系の確立に成功した。しかしヒトNGFの場合マウスNGFに比しその感度は低く(1ng/tube)、現在その感度をあげるべく検討中である。(4)マウス脳アストグリア細胞のNGF生合成促進物質を検討し、ユビキノン、ビタミンK関連化合物の一部に強い生合成促進作用のあることを見出した、などの新知見を得るなどほぼ初期の目的を達することができた。
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