研究課題
試験研究
本年度はカラードプラ装置とイメージ・プロセッサーとの連結作動の精度検定とデーターの定量分析の検討を行なった。カラー・ドプラ法は流速を32段階区分表示をしている。この流速区分を基にして心腔内血流シグナルの分布を分析した。10例の心疾患例での左室内、左房内、右房内の異常血流は症例により部分的なデーター欠落が認められた。この問題の解決には記録方向として精密スキャン方式を採用し取込みデーター数を増加させること、それに加えて各ピクセル間のスムージングを加えることにより分析可能な画像デーダーをデジタル的にストアーすることができた。健常者および心疾患例30例の心内血流分析では、健常者の左室流入血流の流速プロフィールは僧帽弁口付近では平垣であり、左房側から左室心尖部に至る間、徐々に流速を増し、弁口部でピークに達したのち徐々に減速した。一方、僧帽弁狭窄の左室流入血流は細い筒状の流速の大な流入血流分布を示し、中央部は流速が平垣でかつ弁口から左室中央近くまで同じ高速が持続した。それより心尖側や筒状の周辺部は急速に流速が低下するとともに、乱れ指数が増加した。逆流血流の分析では、三尖弁逆流の流速プロフィールは三尖弁口の吹出し近くは速い流速が持続するが横方向に広がるとともに減速する。この場合の短軸方向の流速プロフィールは中央をピークとする山型のプロフィールを示し横方向の広がりが大きくなると平垣な台型に近いパターンになる。しかし、非常に流速の速いジェットはカラー・ドプラ法の流速測定限界を超えるためモザイク・シグナルとして表示される。このモザイク・シグナルはピクセルごとに血流方向が異なり本装置では分析が不可であった。今後は、プログラム上でモザイク・シグナルを認識して、この領域を高速乱流領域と判定できることが必要と考えられた。
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