研究課題
二次元ドプラ血流情報を画像処理装置に組み込み、その臨床例20例の分析を行なった。1)僧帽弁挾窄症:挾窄血流の長軸断面での血流プロフィルは左房から挾窄弁口まで急速に流速が増し、弁口部から平坦部を経て心尖方向に向かうに従い徐々に減速した。狭窄血流に直行する短軸断面での血流プロフィルは、左房内で放物線状を呈し、弁口に近づくにつれて横幅は狭く縮流となったが、流速は増加し、短軸血流プロフィルは尖塔状を呈した。弁口を通過するとほぼ同様の尖塔状の高速血流部分を経たのち狭窄流の横幅が広がり、流速は低下し短軸の血流プロフィルは台形状を呈した。これは終端に近づくにつれてド-ム状となり消失した。分散指数は狭窄血流の弁口から左室内にかけての高速中心流では低値であったが、終端部では高くなる傾向があった。しかし前述の流速プロフィルを考慮すると流速に対する相対的な分散指数は弁口部付近で最も低く心尖部に向かうに従い高くなると考えられた。2)三尖弁閉鎖不全:逆流血流の血流方向での血流プロフィルは右房内三尖弁直下で最高流速を有し、逆流血流の終端に向かうに従い減速し終端では急速に消失した。逆流の血流方向に直行する血流プロフィルは三尖弁付近では尖塔状を呈し逆流血流の幅が広くなるに従い台形に近くなり、終端部では再び放物線状となった。分散指数は逆流血流に平行な面では増帽弁狭窄症とは異なり弁口に近い程高く逆流血流の終端に向かうに従い減衰し、血流プロフイルが台形状となるレベルからはほぼ一定となり終端に至った。逆流血流方向に直行する短軸断面では逆流血流の辺縁で高い傾向にあった。〔まとめ〕デジタル画像解折装置を用いることにより流速プロフィルからの生理的病的血流の種々の動態分折が可能であったが現状では分散指数がどの程度正確に血流の乱れた状態を表現しているかは確定していないが逆流狭窄流における乱れ情報の分折の可能性が示された。