研究課題
試験研究(B)
二次元ドプラ血流映像法は心臓の構造物のエコ-像と同時に心臓内部の血流を流速ドプラ情報としてブラウン管上に表現するため、心臓疾患の病態解析に極めて適合したものである。しかし、映像のみでは定量的な数値が得られないので本研究では二次元ドプラ血流情報に電算機処理を加え、ある特定血流の流量プロフィル、運動量、流量、心臓内ないし弁口における圧較差などを容易に非侵襲的に算出しうるようにした。先ずモデル回路実験によって噴出流のデ-タを入力し、その流速分布、流速プロフィ-ル、分散指数、乱流などの分析が可能であることを確認した上で画像の取り込み処理に適した条件を設定した。臨床例に対しては健常例の僧帽弁口、左室流出路の血流を二次元的に分析した結果、僧帽弁輪から左室にかけ平坦なプロフィ-ルを呈し、心尖に近づくにつれ徐々に山型に変化することが明らかとなった。僧帽弁狭窄例の僧帽弁口から心尖にかけての狭窄流は左房側より狭窄弁口に向かって縮流となり、左室に流入した後は概ね弁口の広さのままで心尖近くまで平坦なプロフィ-ルを呈した。僧帽弁逆流では逆に心室側に弁接合部へ向かう縮流が見られ、左房へ逆流後はすぐ乱流となり左房腔に広がったが、その程度は僧帽弁の性状や接合面の形態に左右された。乱流程度の強いものほど逆流の致達距離に比しその広がりは大きかった。僧帽弁閉鎖不全例において左室内から僧帽弁尖への縮流、さらに弁接合部から左房内への噴き出し血流の流速プロフィ-ル、分散乱流情報を分析し、逆流ジェットの横方向への広がりと流速、乱れとの関連も併せて分析した。
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