研究概要 |
HLA適合血小板輸血・骨髄移植の為の非血縁ドナ-プ-ルを考える時、その適正規模を推定する必要がある。本研究ではこの為先ず今まで同様の調査がほとんどなされていなかった東北六県の約150家系を対象にHLA型の調査を行なった。即ち、各家族とも両親及び子供3人のHLAーA座、ーB座、ーC座、ーDR座の表現型を血液検査によって明らかにし、その遺伝型式を確認しながら、一家族当り4本のハプロタイプを決定した。現在、解析の終了した約130家系(各県20家系以上)のデ-タを基に計算した結果では、血小板ドナ-・プ-ルとして、2,500人から5,000人、骨髄ドナ-・プ-ルとして、25,000人から50,000人の登録者があれば、約80%〜90%の患者が適合ドナ-を得られることが判明した。上記の数字は数年前に行なわれた全国調査300家系を基に求めた成績と近似しており、理論的な適正規模として参照すべきものであることを示している。若于、今回の計算結果の方が適合者の割合が高いのは、地域的に一定のハプロタイプが集積しているためと考えられ、人類遺伝学的にさらに検索することが望まれる。本研究でHLA検査を実際行なった際の手順も工夫を要した。予め、各抗HLA抗血清を封入したテラサキプレ-トに一定量ずつのリンパ球を注入させ反応させた。HLA検査の性格上、リンパ球のviability,も重要であり、採血後の移送の問題を解決するために、無菌的にリンパ球を分離し、移送も容易な小型の採血バッグを検査用に作成した。処理能力を高めるため、従来の光顕下での判定によらず、光度計測定結果をコンピュ-タ-処理し、ハプロタイプでの遺伝型式を確認しながら後日解析した。これらは本研究の本来の目的である非血縁ドナ-プ-ルの作成・検査登録を考える上で参照すべき経験である。
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