研究課題/領域番号 |
63870050
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小澤 和恵 京都大学, 医学部, 教授 (00026858)
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研究分担者 |
青木 吉平 伊原電子工業, 開発室, 次長
宇野 静夫 三和化学研究所, 研究員
嶌原 康行 京都大学, 医学部, 助手 (30196498)
山岡 義生 京都大学, 医学部, 講師 (90089102)
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キーワード | 肝ミトコンドリア / アセト酢酸 / 3ヒドロキシ酪酸 / ケトン体比 / 膜電位 / エネルギーチャージ / 肝不全 |
研究概要 |
血中ケトン体比(アセト酢酸/3ヒドロキシ酪酸)の測定が、肝不全多臓器不全の病態の把握と治療方針の決定に重要であることを述べて来た。最近は肝移植後の治療にも応用が可能であることを明らかにした。今回の研究は、臨床的に刻々と変化していくケトン体比を迅速に測定する事にある。理想的には動脈内にセンサーを有するカテーテルを挿入し膜におこる変化によりdual timeで測定することにあるが、現在ではそれに耐える酵素ができていない。そこで、61年度試験研究で開発製作したKETO 340を改良し、自動化の部分を多くした。すなわち、ディスポーザブルセルに検体を注入したあとは、前値の測定、基質、酵素の注入、各時期の待時は自動的に行い、ベルトの移動によって、全8検体を一期に測定可能とした。注入後に要する時間は反応時間の20分と注入、攪拌に必要な時間のみで、人的要素が少なく短時間となった。 新しく試作した装置とKETO 340との測定値の相関は極めて高い(r>0.98、p<0.001)。またセルを8mm角セルを用いて検体量、試薬量の節減を得た。 臨床的経過との関係は、従来より示して来た肝切除後の治療においてケトン体比を低下させない工夫として、循環免疫量を低下させないようndry sideに保つ輸液管理を排し人工呼吸器を積極的に装着し呼吸管理を行い、栄養基礎の選択にもケトン体比の結果から選定している。最近、ハノーファー医科大学との共同研究では肝移植後のケトン体比の測定の意義も明かとなり同大学への搬送も考慮している。 向後の問題は、今回の改良でも血清にまで分離する必要があるので、酵素の開発により、血管内挿管による連続測定が可能な研究へとつなげていきたい。
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