研究課題/領域番号 |
63870058
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
辻 陽雄 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (90009449)
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研究分担者 |
高野 治雄 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (40135017)
加藤 義治 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (00143850)
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キーワード | 誘発脊髄電位 / レ-ザ-ドップラ- / 脊髄血流 / 低体温 / 脊髄圧迫 / 経頭蓋刺激誘発脊髄電位 |
研究概要 |
本年度分の研究費は当初の予定通りに使用され、昨年度以降現在までに以下の成果を得た。 1.体温変化と脊髄血流、誘発脊髄電位との関係:ネコの体温を降下させると、脊髄血流は減少し、誘発脊髄電位は変化する。誘発脊髄電位の変化は各々の波形成分により異なる。すなわち、策路を伝導する電位成分は体温低下にともない電位振幅は増大し潜時は延長する。脊髄灰白質細胞成分反映する電位は、電位振幅が低下し、潜時および電位持続時間は著明に延長した。この2つの電位のうち、伝導性の電位成分の振幅および潜時の変化率は、温度変化と一定の相関がみられる傾向がある。この法則を応用することにより、体温変化にともなう誘発電位波形をコンピュ-タ-を用いて補正することが可能と考えられた。低体温麻酔を併用した手術に際しての脊髄機能モニタリングに威力を発揮するものと期待される。低体温時の脊髄血流の減少は僅かであり、誘発脊髄電位に変化をおよぼすほどの変化ではないと考えられる。 2.脊髄圧迫にともなう各種誘発脊髄電位の変化:ネコ脊髄を腹側および背側から圧迫を加えた場合に経頭蓋刺激による誘発脊髄電位(MEP)と脊髄刺激による電位(SCEP)とは異なる変化を示す。腹側から圧迫を加えた場合はMEPの第1電位が最も鋭敏に反応し、電位振幅低下を来たした。一方、背側からの圧迫ではSCEPの多相性波が最も早期に電位変化をおこす。すなわち、脊髄横断面での障害判定に複数の誘発電位を総合的に評価する必要性が示唆された。 以上から、脊髄血流、体温および複数の誘発脊髄電位を用いた多元的導出により、脊髄機能をより正確に評価することが可能であると考えられ、現在、これらに基づく警報システムの構築を行っている。
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