研究課題/領域番号 |
63870069
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高坂 知節 東北大学, 医学部, 教授 (80004646)
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研究分担者 |
小林 俊光 東北大学, 医学部, 助教授 (80133958)
鈴木 陽一 東北大学, 大型計算機センター, 助教授 (20143034)
曽根 敏夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (50005245)
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キーワード | 難聴 / 補聴器 / ディジタルフィルタ / ディジタル信号処理 / 適応フィルタ / DSP / 周波数特性 / 補聴器フィッティング |
研究概要 |
1.補聴器の周波数伝達特性を任意に変化させるためのいくつかの実現方式について、得失の検討を行った結果、我々は、周波数特性の変化が極めて柔軟に行え、かつ、不要雑音低減等の信号処理を併用することが可能な、ディジタルフィルタを用いる方法を採用することとした。そのうえで、ディジタルフィルタを用いた補聴システムとして、ワークステーションを用いた準実時間処理の検証システムと、ディジタル信号処理用LSI(大規模集積回路)を用いた実時間システムの2つのシステムの試作を行った。前者は、補聴器に適したディジタルフィルタの実現方式を幅広く検討するために用いるためのものであり、後者は、そのようにして決定したディジタルフィルタを実時間で実現して、実際に卓上型の補聴器として用い得るプロトタイプシステムである。前者については、線形フィルタと、適応型フィルタの2種類のシステムの作成を終え、現在、システムの性能の評価中である。後者については、現在ハードウェアシステムの作成を終了し、ソフトウェアシステムの設計を行っている段階である。 2.ディジタル補聴器の特性を決定する目的で、今年度はとりあえず既存の補聴器について、その利得上の問題点を調査した。難聴者に補聴器のフィッティングを行い、IGOー1000を用いて実耳挿入利得を測定し、現在望ましいとされている挿入利得と比較検討した。その結果、水平型の難聴の場合は理想とする挿入利得にかなり近似した利得が既存の補聴器でも得られるが、高音障害型の難聴の場合には高音部の利得が十分に得られないこと、また、既存の補聴器では周波数特性にいくつかのピークが生じ、なだらかな特性が得られないことがわかった。今後は、前述のプロトタイプの完成を待って、現在望ましいとされる利得をほぼ忠実に実現し、それが真に望ましい特性であるか等を検討したい。
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