画像増強管利用の弱励起光用蛍光眼底ビデオ録画装置の開発と網膜循環の解析

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63870070
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 玉井 信 東北大学, 医学部, 教授 (90004720)
• 研究分担者: 板橋 隆三 東北大学, 医学部附属病院, 助手 ; 鈴木 均 東北大学, 医学部, 助教授 (60004727)
• キーワード: ビデオ蛍光眼底撮影 / 画像処理 / ビデオ録画 / デジタル・サブトラクション

研究概要

前年度の研究により、蛍光眼底撮影(FAG)像を完全連続撮影しビデオ録画したうえ、録画された画像をコンピュ-タを用いて色々な画像処理のできる基本的システムを開発した。このシステムを用いて、黒兎を用いた実験によって、従来のFAG装置の観察光程度の明るさでFAG画像が得られることを確認した。また、FAG像のデジタル・サブトラクション処理プログラムを開発した。
今年度、上記の基礎実験により明かとなった微弱励起蛍光使用とビデオカメラの感度不足に由来する画質の劣化を改善するため、種々のカメラを比較検討した。その結果CCDを3板用いたカメラで若干のビデオ信号処理回路の変更をしたものが本システムに適することを確認した。本装置を用いたヒトおよび動物実験では、1秒間に10個以上の画像が連続的に得られた。(従来は、2個が限度)。
また、このシステムを用いてビデオ録画さた連続したFAG画像から任意の時間間隔で2枚を選び出し、デジタル・サブトラクション処理を行った。FAG像でのこの処理の報告はいままでなされておらず、これによって、単位時間に網膜の血管内を流れる蛍光剤の様子を鮮明に描出した。この事は、本システムが網膜循環動態の解明に非常に適していることを示すものであって、新しい知見を得ることができた(第93回日本眼科学会総会発表、日本眼科学会雑誌投稿中)。この手法を用いれば、従来雑しかった網膜疾患における血液循環の微妙な変化を早期に発見することも可能である。
今後引き続き本装置のまとめと臨床応用を行う。

研究成果

• [文献書誌] 葛西款,鈴木均,玉井信,田崎京二: "マイクロチャンネルプレ-ト内蔵型弱励起光用蛍光眼底ビデオ録画装置の開発" 第92回日本眼科学会総会発表(投稿中). 91. 204 (1987)
• [文献書誌] 杳間昌子,富田英行,大野浩平,保坂栄弘,武藤勉,鈴木均: "微弱励起による蛍光眼底ビデオ検査システムの開発における画像処理の有用性" 医用電子と生体工学(第28回日本ME学会大会発表). 27. 219 (1989)
• [文献書誌] 武藤勉,玉井信,葛西款,鈴木均,田崎京二,沓間昌子,大野浩平: "微弱励起による蛍光眼底ビデオ撮影及び画像処理システムの開発" 第93回日本眼科学会総会発表. 93. 146 (1989)
• [文献書誌] 武藤勉,葛西款,板橋隆三,玉井信,鈴木均,田崎京二: "微弱励起による蛍光眼底ビデオ撮影及び画像処理システムの開発" 日本眼科学会雑誌(投稿中). (1990)