【○!1】当科において顎裂部へ新鮮自家腸骨海綿骨細片移植術を施行し、術後2年以上経過した症例の咬合X線写真を、本科学研究費補助金にて購入した画像解析装置を用いて分析し、以下の結果を得た。 (1)移植骨の充墳度が高過ぎると移植後初期に骨吸収が著明であり、低過ぎると移植後2年でも骨新生が認められたが、移植後2年の骨量は少なかった。 (2)移植後2年では、手術時年令が低い程骨改造が進む傾向が認められ、上隱骨の成長を抑制しない限り若年時に手術を行う方がよいと考えられた。 この内容については、既に学会で発表しており、今後投稿する予定である。 【○!2】移植実験のモデルとして、雑種成犬に人工的に顎裂を形成し、一定期間放置した後、骨形成因子を移植した。経時的にレントゲン撮影を行ない観察したところ、術後2か月目から良好な骨架橋の形成を認め、隱裂部への骨形因子の応用の可能性が示唆された。移植後4か月で略殺し、現在、標本を組織学的に検索するとともに、画像解析装置を用いて骨形態計測を行ない、骨形因子によって誘導された骨について、その動態を明らかにすべく検討している。又、経時的に撮影した咬合X線写真を上記【○!1】と同様に分析し、ヒトにおける新鮮自家腸骨海綿骨細片移植の場合と比較検討している。今後、この内容について発表を行なう予定である。
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