研究概要 |
(1)骨形成因子と酸性アテロコラ-ゲン溶液を混和したゾルを、注射針でラット傍骨膜に注入すると、骨膜下に極めて旺盛な骨形成が見出された。この方法で骨形成因子を注射し、経時的変化を観察したところ、骨膜の間葉系細胞は、直接、骨芽細胞に分化し、長期経過後も新生された骨はその形態を保っていた。以上の所見から骨形成因子傍骨膜注入法は骨膜さえ存在すれば、非観血的に骨量の増大が計れる新たな治療法となると考えられた。この内要について論文として、投稿した。 (2)骨欠損部に対する移植実験のモデルとして雑種成犬に人工的顎裂を作製し、骨形成因子を移植した。経時的にレントゲン写真を撮影し、画像解析装置を用いて評価したところ、コラ-ゲンを移植したコントロ-ル群に比べ明らかに良好な骨形成を生じていた。又、移植後4カ月時点での顎裂部の歯槽堤の形態について、モアレ写真を撮影して解析し評価したところ、骨形成因子移植群に良好な改善傾向を認めた。さらに顎裂部の移植後の経時的組織学的変化について評価するため,同様の実験系で骨形成因子の移植を行ない、移植後1カ月、2カ月、4カ月時点での脱灰標本を作製し観察した。この結果、X線写真的には良好な骨架橋の形成が生じている4カ月時点でも、一部で骨の形成が継続していることがうかがわれ、さらに長期的予復の観察が必要であると考えられた。上記の研究結果の一部については、河成2年・第35回口腔外科学会総会で報告した、今後他の一部について第45回口腔科学会総会において報告しその後、論文として投稿する予定である。
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