研究課題/領域番号 |
63870079
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
塩田 重利 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (70041267)
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研究分担者 |
富塚 謙一 東京医科歯科大学, 歯学部付属病院, 医員
吉増 秀實 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70137933)
浜中 人士 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (10013955)
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キーワード | NiTi合金 / 圧迫接合副子 / 熱処理 / 変態点 / 引張試験 |
研究概要 |
本年度は、NiTi合金製の圧迫接合副子を作製するための基礎的研究として、NiTi合金の熱処理による変態点の変化、および、NiTi合金製の圧迫接合副子の機械的性質に関する検討を行った。〔実験方法〕NiTi合金板(Ni-49、53Ti at%)を冷間加工して、標準的な形状のミニプレ-トおよび板状のDSC測定用試料を作製した。DSCは、400℃、440℃、480℃、500℃、520℃で30分間の熱処理をした試料および熱処理なしの試料について、ULVAC製DSC-7000で測定した。さらに、440℃、500℃で30分間の熱処理をしたプレ-トおよび熱処理なしのものについて、引張試験を行った。まず、試料をアルコ-ル+ドライアイス中に浸漬して-50℃まで冷却しマルテンサイト変態させた後、コンピュ-タ計測制御式万能試験機により、引張速度0.1mm/mmで荷重100kgfあるいは変形量1.5mmに達するまで形状を変形させた。除荷後、変態点を過ぎるまで加温して牽引力を測定し、さらに、除荷して形状回復の挙動を観察した。〔結果〕試料の変態点は熱処理温度によって変化し、その範囲はMs点:20〜50℃、Mf点:-35〜45℃、Af点:50〜60℃であった。プレ-トの熱処理温度は、変態点の高い440℃と低い500℃とした。熱処理を施した試料では、500℃よりも440℃処理の方が変形に要する荷重が高く、除荷するといずれも0.9〜1.0mmの変形が残留した。これをAf点以上の60℃程度まで加温していくと、As点を過ぎる30〜40℃で荷重が増加し始め、50〜60℃で20kgf程度の牽引力が得られた。加温した状態で再び除荷すると、変形量が0.5mm程度になり、形状記憶効果による変形の回復が認められた。この一連の挙動はDSCで測定した変態点と一致しており、より低温で形状記憶効果が発現する500℃処理が、圧迫接合副子として有利な性質を有していると考えられた。また、熱処理なしの試料では、変形量が小さく、加温による荷重の明確な立ち上がりは認められなかった。
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