研究課題/領域番号 |
63870081
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
道 健一 昭和大学, 歯学部, 教授 (40013891)
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研究分担者 |
松井 義郎 昭和大学, 歯学部, 助手 (10181687)
田代 恒久 昭和大学, 歯学部, 助手 (70188233)
斎藤 健一 昭和大学, 歯学部, 講師 (20119192)
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キーワード | 抜歯術 / 超音波振動装置 / 抜歯力測定 |
研究概要 |
われわれは抜歯を容易にするため、抜歯術に超音波を応用する方法ならびに装置を考案した。本研究の目的はこの装置の臨床応用を可能にするために基礎的、臨床的検討を行うことである。今年度は主として基礎的な研究を行った。 実験動物は雑種成犬を用い、静脈麻酔下で抜歯対象歯の歯根膜腔に超音波振動チップを挿入し、歯根膜線維など歯周組織の切離を行った。チップの作用時間は注水下で90秒とし、切離後、抜歯力センサーをとり付けた抜歯鉗子により抜歯を施行した。抜歯力測定装置は従来の咬合力測定装置を改良、開発して用い、鉗子の把持部に加わる力をデジタル表示させた。さらに抜歯力の経時的推移を検討するため、抜歯力測定装置に入力したデータをデジタルレコーダーにとり入れ、分析を行った。なお、超音波処理抜歯対象歯と反対側の同名歯をコントロールとしてそれぞれの値を比較検討した。創傷治癒の観察は抜歯後7日、14日、21日にそれぞれ屍殺して顎骨を採取して組織標本を作製して行った。 その結果、超音波チップを使用して施術した9歯中8歯では破折を起こさず抜歯を完遂できたが、コントロール群では抜歯完遂例は9歯中5歯であった。実験群(n=8)およびコントロール群(n=5)の最大抜歯力の平均値はそれぞれ32.2±10.2kg、39.0±9.2kg、抜歯所要時間の平均値は44.4±21.1秒、71.0±40.2秒であり両群間に有意差が認められた。創傷治癒所見では実験群の21日目の所見でコントロールに比べやや骨造生量が少なかったが、ドライソケットなど異常治癒所見は全く認められなかった。なお、これらの所見は平成1年6月に行われる第43回日本口腔科学会総会において発表予定である。
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