研究課題/領域番号 |
63870083
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島田 義弘 東北大学, 歯学部, 教授 (40005012)
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研究分担者 |
酒井 才 新コスモス電機, コスモス研究所, 主任研究員
小原 陽子 東北大学, 歯学部附属病院, 助手 (90177296)
岩倉 政城 東北大学, 歯学部, 助教授 (90005067)
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キーワード | 口臭 / 揮発性硫化物 / 半導体薄膜センサ / 口臭測定器 |
研究概要 |
口臭を訴える患者は東北大学歯学部附属病院予防歯科受診者の4割を占めており、系統的な診断治療体制の確立が望まれている。そのためには口臭の評価法が必要であり、従前から治療者の嗅覚に頼るのが一般的な方法であったが、治療者の体調や嗅覚能力の相違などにより口臭評価の信頼性に欠けることがあった。そこで我々は口臭の程度をガスクロマトグラフィを用いて定量評価したところ、口内気体中の揮発性硫化物(以下VSCと略す)が口臭の程度とよく相関することを見い出し有用な診断機器として用いてきた。しかし装置が大型で定量までの余熱に3時間を要する上に熟達したオペレーターを必要とすることから、より簡便な定量法の開発に着手した。VSCに対する感度の高い酸化亜鉛を主成分とする薄膜センサに着目し、これを用いた簡易口臭測定器の作製を試みた。この薄膜センサの定量限界はVSCに対して10ppbで、口臭検知に十分な感度であった。測定までの余熱時間は約2分、再測定には約3分を要するのみで、ガスクロマトグラフィに比べて操作の簡便性が確認された。アルコールその他の揮発性有機物質に対する感度はVSCに比べて10分の1以下で選択性に優れていた。しかしVSC濃度が低い試料でも高い値を示す例があったことから酸性吸着剤フィルターを考案し、これを組込んで測定したところ口内気体に多い成分とされるアルコール、アセトンなどが除去できた。また患者の口腔から試料気体を採取するに際して、測定に必要な気体容量が確保できないことが口臭原因気体の濃度を変動させる要因となっているため、口内気体を定容する方法を検討した。形が鍔付帽子状の合成樹脂性マウスエアチャンバーを作りこれを患者の口腔前庭部に装着して定容の空気室とし、ここから試料空気を採取したところ同一個体から変動の小さい測定値を得た。以上の検討を経て口臭判定に有用な簡易口臭測定装置を試作した。
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