研究概要 |
1.神聖草のプロテインキナ-ゼ阻害活性成分:蛋白質リン酸化酵素Cキナ-ゼに対して阻害活性を示した韓国民間薬“神聖草"のアセトンー水(1:1)抽出エキスを更にCH_2Cl_2AcOEt,nーBuOH,および水で分画した。このうち,阻害活性を示したAcOEt画分およびnーBuOH画分より数種の化合物を得た。これらの化合物の構造を,各球スペクトルデ-タ(uV,IR,FABーMS,IDおよび2D NMR)の解析により,フラボノイド誘導体3種,フェノ-ルカルボン酸グルコシド3種,タンニン3種の構造を明らかにした。現在,残り数種の化合物の構造を検討している。また,これまでに得られた化合物22種についてプロテインキナ-ゼC阻害活性について検討したところ,すべてのタンニン(二量体2種,三量体1種,四量体2種)に阻害活性が認められた。 2.ネジバナおよび類縁のラン科植物の成分研究:ネジバナと同じラン科に属し,漢方で石斛の原植物として用いられているエフェメランタ・ロンコフィ-ラの成分を検索し,8種のフェノ-ル性化合物と1種のジテルベングルコシドを単離し,高造を明らかにした。 3.Woodfordia fruticosaの新規抗腫瘍活性成分の研究:Woodfordia fruticosaより,トポイソメラ-ゼII阻害活性及び制癌活性をもつ新規二量体タンニン,ウッドフルティコシンを単離,構造決定した。本化合物は,既知の制癌剤エトポシドやアドリアマイシンに比べ,より強いトポイソメラ-ゼII阻害活性およびヒトPCー1細胞の阻害活性を示した。本化合物は従来知られている抗腫瘍物質とは全く別種の新しい型の構造で,注目に値する化合物である。これまでのin vitroおよびin vriroの実験結果から,ウッドフルティコジンはトポイソメラ-ゼIIを阻害することによってDNA合成を阻害し,細胞増殖に対して特異的に作用するのであろうと考えられる。
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