研究課題/領域番号 |
63870103
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 紀夫 大阪大学, 医学部, 講師 (00144478)
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研究分担者 |
今井 豊 島津製作所, プロセス計測事業部, 主任研究員
河野 通一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
佐々木 裕 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
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キーワード | 超音波 / 組織性状診断 / 周波数依存減衰率 / cepstrum / 散乱体間距離 / kurtosis |
研究概要 |
Bモード超音波診断装置SDUー500(島津製作所)を、画像上の任意の部位より超音波後方散乱波が取り出せるように改造した。3.5MH_2リニア探触子を用い、得られた後方散乱波をA/D変換した後、personal computerに取り込んで、cepstrum解析、ならびに周波数依存減衰率(FDA)を算出した。 散乱体間距離(SAS)のmodeは、正常肝、慢性肝炎に比して肝硬変では有意に高値を示した。肝硬変症例について、腫腔鏡下に生検によって得られた肝組織より検鏡下に各偽小葉の長径を測定してみると、その値は、cepstrum解析によって得られたmodeと有意の正の相関を示した。一方、SASのkurtosisは、慢性肝炎並びに肝硬変で正常肝に比して有意に低値であった。正常肝では規則的な小葉構造がみられるが、慢性肝炎や肝硬変では壊死と線維化により小葉構造に歪を生じ、この変化が超音波散乱体の配列の乱れとなり、kurtosisに反映されたと考えられた。 周波数依存減衰率と肝臓の脂肪化の程度との間には有意の正の相関関係が認められた。正常肝から肝硬変に到る各病態における肝臓の脂肪化の程度はFDAを用いて評価し得ると考えられた。一方、FDAは脂肪化以外の病理学的変化には殆んど影響されなっかた。
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