研究概要 |
1.Staurosporine類縁化合物について、これまで計42種類をp60^<src>、及びp120^<gag-fas>のキナ-ゼ特異的阻害を示標に検索を進めたが、有意にチロシンキナ-ゼに対して特異的阻害を示すものは見いだされていない。ただしこのうちUCN-01はCキナ-ゼに対するIC_<50>が約10nMと低く、Aキナ-ゼや、チロシンキナ-ゼに対するIC_<50>が100nMであることを考えると、Cキナ-ゼに対する特異性は高いといえる。 2.前年度に、Cキナ-ゼに対する特異性の高い阻害剤として見い出されたUCN1028について、その特異性を決定している機構について研究を進めた。この抗癌活性を評価する前の必須なステップであるのみでなく、チロシンキナ-ゼ特異的阻害剤の設計に有用であると考えたためである。UCN1028を構成する主要成分を、分画精製し、これまで5化合物を得ている。これらはCalphostinA,B,C,D,Iとそれぞれ名付けられ、Cキナ-ゼに対する阻害活性と、種々の腫瘍細胞に対するcytotoxicityを評価した 3.2の検索と評価で、最もよい阻害効果を示したCalphostinCについて、その阻害機構を調べた所、Calpain消化を受けたCキナ-ゼに対して、阻害活性を示さないことから、Cキナ-ゼの制御ドメインと結合して機能すると結論された。またCalphostinCが、Cキナ-ゼとpDBuとの結合を阻害することも判明した。
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