研究概要 |
1)Staurosporineの誘導体を新たに12種合成し,チロシンキナ-ゼに対する特異的な阻害剤を検索した。チロシンキナ-ゼの活性は,大腸菌内で作製した<abl>___ータンパク質を使用して測定した。これまでに有効な特異的阻害剤は見い出されていない。 2)イソフラボンの一種,genistein,フラボンの一種,quercetinは共に,チロシンキナ-ゼに対する特異的阻害剤と考えられてきたのでp60^<vー<src>___ー>キナ-ゼを使用して,その阻害活性を再評価した所,かなり,これまでの報告に比べ阻害活性が低いことが判明した。これらの薬剤を細胞や個体に投与した場合,どのような他の生化学的性質を持ち得るのかを調べた所,どちらも哺乳動物のトポイソメラ-ゼ依存的なDNA切断能力があることが判明し,これら阻害剤の細胞や個体における効果が複合的であり,これまでの報告の解釈は極めて慎重に行なう必要があることがわかった。 3)本研究で見い出されたCキナ-ゼに対する特異的阻害剤,UCN1028について,これをより分画精製した所,Calphostin Cと名付けられた画分に,特異的阻害活性を見い出した。Calphostin CはHeLaS3,MCFー7といったtumor cell lineの増殖を阻害を示すばかりでなく,動物個体を使用した投与実験でantitumor活性を検出できた。 4)我々が見い出した新しい<fos>___ー関連遺伝子,<fra>___ーー2は,その発現の誘導と,遺伝子産物ガリン酸化を受ける過程とにおいて,複数の細胞内に存在する増殖因子誘導性のプロティンキナ-ゼの制御を受けることが判明したので,上述の阻害剤の効果を培養細胞内で検定する系を作った。
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