研究課題/領域番号 |
63870109
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
笹 征史 京都大学, 医学部, 助教授 (20025654)
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研究分担者 |
芹川 忠夫 京都大学, 医学部, 助教授 (30025655)
山田 淳三 京都大学, 医学部, 教授 (90025651)
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キーワード | 自然発症てんかんラット(SER) / tremorラット / Zitterラット / 強直性けいれん / 欠神様発作 / フェノバルビタール |
研究概要 |
tremorヘテロ(tm/+)とZitterホモ(Zi/Zi)ラットを交配してえられる二重突然変異体の自然発症てんかんラット(Zi/Zi、tm/tm、SER)の長期維持法と薬理学的応用法を確立するための研究を行った。(Zi/Zi、tm/t)同志の交配により1/4の割合でSERがえられ、現在の環境条件下(室温23±2℃湿度55±5%、自由摂水食、コンベンションルーム)において平均寿命はオス16.5週、メス15.7週となっている。SERの強直性けいれん発作および欠神様発作の両発作が生育過程のどの時期から発現するかを欠神様発作については生後4週後に大脳皮質に慢性電極を設置して脳波記録を行い、強直性けいれんについてはビデオフィルムに記録し観察した。強直性けいれんは生後7週より15%の動物でおこりはじめ、12週より全例がおこるようになった。(平均出現回数0.2回/分)。欠神様発作は脳波上5ー7Hz棘除波結合が出現することから判定した結果、生後5週より25%の動物でおこり、6週以降は全例の動物でおこった。一方、0.1%フェノバルビタール含有飼料を投与することにより、これらの発作が抑制しうるか否かを検討した。フェノバルビタール含有飼料を生後7週より投与したところ、強直性けいれんは生後9週まで完全に抑制され、16週までは発作回数は有意に減少した。その後は発作回数が増加したが、平均寿命は延長した(オス22.3週、メス19.1週)。しかし、欠神様発作はフェノバール摂取によって影響を受けなかった。以上の結果は、現在の飼育条件下で短命ではあるが、比較的一定した生育がえられ、均一的な両発作をおこすことが示された。フェノバールの長期摂取効果は、けいれん発作を抑制するが欠神発作には無効というヒトでの効果とも一致し、SERは、抗てんかん薬の長期効果を検討する上で有用なモデルと考えられる。
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