超音波診断法はその無侵襲性、手軽さ等から、種々の臨床現場で広範囲に使用されている。超音波プロ-ブを人体表面に当てるだけで、体内各部への断面形状が実時間で手軽に得られ、被験者への苦痛や侵襲性のない点などから、各種の検査にその効力を発揮しつつある。しかしながら、その情報は十分に利用されているとはいい難く、医師の目視による定性的なものが大部分である。 超音波診断法の利点をさらに生かし、臨床上有効な定量的なデ-タを取得することができれば、被験者にとっても、医師にとっても益するところ極めて大である。本研究は一般に普及しているパ-ソナルコンピュ-タに簡単な装置を付加することにより、超音波診断装置、もしくは、ビデオテ-プレコ-ダとオンラインで結び、エコ-信号を、直接または、断層像が記録されたビデオテ-プを介してのオンライン取り込みを行い、心周期にわたる左心室形状の計測を行い、各種心機能をはじめとする定量的なデ-タ取得が容易に実行できるシステムを構成しようとするものであった。 本年度の研究に於いては、昨年度の研究に於いて作成したハ-ドウェアを用いて、超音波断層像処理実験を行い、ソフトウェアを含めたシステムの構築を行った。この際、マウスを用いたメニュウ形式で、処理を進行させる方式を採用し、医師等にとっての使い勝手のよさを考慮して、システムを構成した。また、得られた左心室輪郭線(1心周期)から、各種の心機能の計測表示システムも組み込み、全体としての処理実験を行い、本システムが、心臓疾患の定量的な診断にたいして有効に機能することが確かめられた。
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