研究課題/領域番号 |
63870115
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
野口 俊英 愛知学院大学, 歯学部・第三歯科保存学教室, 教授 (50014262)
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研究分担者 |
梅村 昌孝 愛知学院大学, 歯学部・第三歯科保存学教室, 助手 (70191921)
青山 行彦 愛知学院大学, 歯学部・第三歯科保存学教室, 助手
福田 光男 愛知学院大学, 歯学部・第三歯科保存学教室, 講師 (40156790)
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キーワード | 歯周病 / 好中球 / メソトレキセ-ト / 歯槽骨の吸収 |
研究概要 |
本年度はラットに長期にわたる好中球減少状態を惹起した場合の歯周組織の変化を組織学的に検索した。実験動物には、生後4週令の体重約100gのウイスタ-系雄性ラット40匹を用い、A群とB群の2群に分けた。動物の歯周組織に軽度の異症状変化を惹起させる目的で、上顎右側第一臼歯と第2臼歯の歯間部に歯肉に損傷を与えないように縫合用ナイロン糸を挿入して実験例とした。B群の動物にはナイロン糸挿入後3周目から生食水に溶解したメソトレキセ-ト(1.0mg/kg)を腹腔内注射で、週3回、屠殺時まで連続的に投与した。A群には何も投与せず対照群とした。実験群、対照群ともに1、3、5、7、9週後に、エ-テル麻酔下で各群4匹を用いて採血処置後屠殺し病理学的検索を行った。結果: 1)血液所見、メソトレキセ-トを投与したB群の動物では、総白血球数、好中球数ともに3週およびそれ以後で有意に低下していた。 2)組織学的所見、メソトレキセ-トを投与した実験群の実験例において歯肉結合組織に軽度の炎症性細胞浸潤が観察され、経時的に増加していた。歯根膜にも5週で軽度の炎症性細胞浸潤がみられた。また、歯槽骨には5週で少数の破骨細胞による骨吸収が観察され、7、9週で著名な骨吸収が行っていた。メソトレキセ-トを投与した実験群の動物でもリガチャ-を挿入していない対照例では、歯肉上皮、歯肉結合組織、歯根膜、歯槽骨には特に変化はみられなかった。又、メソトレキセ-トを投与しない対照群の動物のリガチャ-を挿入した実験例では炎症性変化が生じていたが、メソトレキセ-ト投与群の実験例に比較すると骨吸収の程度が有意に少なかった。以上のことより、歯周病の炎症性病変の進行に白血球、特に好中球が大きな役割を果たしていることが明らかとなった。
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