研究課題/領域番号 |
63880012
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桂 義元 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (90027095)
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研究分担者 |
磯部 健一 名古屋大学, 医学部, 助教授 (20151441)
藤本 真慈 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (60199370)
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キーワード | T細胞 / CD4遺伝子 / AIDS / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
導入遺伝子をT細胞中で最もよく発現させるために開発されたベクターSRα296へ,ヒトCD4遺伝子のCDNAを組込んだ。得られたSRα296ーCD4はCOSー7細胞へ導入することによってCD4蛋白を作ることが確認されたので、これを用いてトランスジェニックマウスの作成を行なうことにした。SRαー296ーCD4より、SRα296プロモーター、CD4cDNAおよびpolyA部位以外の部分を切り離し、精製した後、C57BL/6マウス受精卵へマイクロインジェクション法により導入した。代理親として用いたICRマスウの1匹から生れた7匹の子マウスのうち、2匹の雄にSRα296 CD4遺伝子が組込まれていることが、CD4cDNAをprobeとしたsouthern hybridization法で確認された。現在このマウスとC57BL/6雌マウスとを交配させ、子孫を増やすことをこころみている。さらに、別のベクターに組込んだCD4遺伝子でもトランスジェニックマウスを作成することをこころみている。 CD4トランスジェニックマウスに関しては最初の子マウスが生れたばかりであるので、これ以上の解析は行なっていない。したがって、この研究に関連して行なっている実験等について追加する。その1つはHIV(human immunodeficiency virus)の感染を、antisense RNAを利用して阻止する方法の開発であるが、最近われわれは基礎的な部分でこれに成功した。すなわち、HIVに感受性のヒトT細胞株Hー9にHIV tat部分のantisense DNAを含むベクターを導入することによって、HIVに対して強い抵抗性を賦与することに成功した。将来トランスジェニックマウスの骨髓幹細胞へ導入してT細胞にこのantisense RNAを発現させる実験が可能であろう。いま一つ重要な点は、マウス細胞はヒトCD4を発現してもHIVが感染しない可能性が指摘されている。したがって、CD4遺伝子をウサギへ導入することを計画中である。
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