本研究は、反射電子顕微鏡(REM)像を観察しながら、同時にカソ-ドルミネッセンス(CL)を検出する装置の開発を目的としており、その主要装置は、CL光を検出するために特殊設計した反射電顕用ホルダ-とCL光を集め電顕外部の分光器まで導くための集光用装置である。反射電顕用ホルダ-は昨年度(初年度)に完成し、所定の性能を持つことが確認されたが、設計の途中2軸傾斜機能を導入するなどの変更があったため、完成したホルダ-に対して当初考えた集光用装置との整合性がそのままではとれないことが判明した。具体的には、口径10mm、焦点距離10mmのレンズが、45°傾斜した状態のホルダ-と接触してしまうため、電子線照射位置にレンズの焦点を合わせられないことである。このため集光用装置の製作が大幅に遅れてしまった。この装置の製作と並行して、当該年度の計画の一つであるパソコンを使ったスペクトルの自動記録システムの製作を行い、これを完成させた。このシステムにより、フォトンカウンタの出力信号はパソコンのモニタ上にスペクトルとして表示され、パックグラウンドの差引きや真のスペクトルに直すための補正がパソコンを使って容易に行えるようになった。また、予備実験として楕円型集光ミラ-をホルダ-の上側だけでなく下側にも配置して実験を行っていたが、半導体などでルミネッセンス以外の光が放出されていることが見出された。詳しい実験から、雲母や水晶などの透明な誘電体ではチェレンコフ放射が生じ、金属や半導体では主に遷移放射が発生していることが明らかとなった。REM配置にした半導体や金属の表面に電子線を照射すると異なったスペクトルが現れることも観測され、表面構造を反映している可能性も示唆されている。これらのスペクトルの解析については現在進行中である。
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